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色数を増やしても良いデザインになるわけではない


ものの見方が幼稚になっているように感じられる。

自動車のナンバープレートのデザインが平成30年(2018) 頃から自治体によって自由となった。色はブルーかグリーン系が多く見受けられる。ごちゃごちゃ細かい要素が増えたり色数が無計画に増やされ、見づらい。交通取締用機械で読めれば何でもいいということになっているのだろうが、わかりづらい。本来の目的である文字が見にくいし、図柄も何のことなのか理解しづらい。

地方図柄入りナンバープレート

昭和の特急のヘッドマークに代表される、あの簡略化されても意味が通じるデザインとその視認性の高さ。平成になって色数が増え、最終的にはフルカラー1670万色くらいになり、必要なことを過剰に盛り込みすぎて意味不明となり、現在は鉄道ヘッドマークはほぼ廃れたと言っていい。

ウェブやアプリのアイコンは、以前はリアルで立体的なアイコンが主流だった。つい数年前は「フラットデザインだ」としてシルエットのようなアイコンが流行して、現在ではまた厚みや陰影が生き返りつつある。これは端末の処理能力にも関係して流行が作られている。

色数の増加とデザインの複雑性

デザインにおける色数の増加は、その魅力や表現力を向上させる一方で、視認性の低下につながる可能性がある。近年、デジタルツールの普及や印刷技術の向上により、デザイナーは無制限に色を使用できるようになった。これにより、鮮やかで魅力的なデザインが生み出されることは間違いないが、色数の増加はデザインを複雑にし、理解しにくくする要因だ。

デザインの単純さは、情報伝達やメッセージの伝達において極めて重要。単純なデザインは、視覚的なノイズを最小限に抑え、ユーザーが情報を迅速に理解できるようになる。減らして減らして減らしまくるデザイン。しかし、色数が増加することで、デザインに多くの要素が組み込まれ、視覚的な混乱が生じる可能性が高まる。これにより、デザインの目的が曖昧になり、ユーザーが求める情報を見つけにくくなっていく。

また、リアルで生々しい画像は脳の認知に影響を及ぼし、伝えたいメッセージとは違うイメージを、閲覧者は勝手に想起してしまうことも多々ある。

視認性の低下とユーザーエクスペリエンスへの影響

ユーザーエクスペリエンス(UX)は、製品やサービスを使用するユーザーが感じるすべての要素。デザインはUXの中でも極めて重要な要素であり、視認性の低下は以下のような影響を及ぼす可能性がある。

  1. 情報の見落とし

    色数の増加により、デザインに多くの要素や色が含まれると、ユーザーが必要な情報を見落とす可能性が高まる。特にウェブサイトやアプリの場合に顕著で、ユーザーが目的のコンテンツにアクセスするのに時間がかかり、ストレスを感じさせる。

  2. 視覚的な混乱

    色の過剰な使用は視覚的に混乱する。デザイン要素同士が競合し、ユーザーがどれに注目すべきか分からなくなる。これはデザインの優れた構造やヒエラルキーの欠如によっても加速される。

  3. バリアフリー性の低下

    色数の増加は、視覚障害者や色覚異常者にとっても問題を引き起こす。適切な対策が取られない場合、これらのユーザーはデザインを理解するのが難しくなり、アクセシビリティの問題が浮き彫りになる。

  4. 情報の伝達の遅延

    デザインが複雑になると、ユーザーが情報を処理するのに時間がかかる。これは特に急いで情報を求める場面や緊急の状況において、不都合を生じる。

デザインの挑戦

単純さと複雑さのバランス デザインにおける色数の増加が視認性の低下につながる課題は、デザイナーにとって重要なバランスの問題。デザインの単純さは、情報の効果的な伝達やユーザーエクスペリエンスの向上に寄与しするが、一方で色や要素の多様性はデザインの魅力を高め、ブランドの個性を表現するのに役立つ。そのため、デザイナーは以下の点に留意しなければならない。

  1. 目的を明確にする

    デザインの初期段階で、デザインの目的とターゲットオーディエンスを明確に定義することが重要。デザインが何を伝えるべきか、ユーザーにどのような情報を提供するべきかを理解することは、デザインの単純さと複雑さのバランスを取る上での出発点となる。

  2. ユーザーテストを実施する

    デザインを実際のユーザーにテストすることは、視認性の問題を特定し、修正するための貴重な手段となり得る。ユーザーフィードバックを収集し、デザインの改善を行うことが重要。だが、近視眼的にABテストを盲信するのとはまた別の話。
    テストの内容や手法の選択は難しい。

  3. 色の選択を慎重に

    色はデザインにおいて強力な要素ですが、過剰な色の使用は視覚的な混乱を引き起こす。適切な色の組み合わせを選択し、カラースキームを注意深く構築しなくてはならない。

  4. アクセシビリティを考慮する

    デザインはできるだけ多くの人にとってアクセス可能であるべき。色覚異常者や視覚障害者などの特別なニーズを考慮し、アクセシビリティに配慮する。

 

デザインの進化に伴い、色数の増加は単純さと視認性の低下という新たな課題をもたらす。デザインは情報伝達の手段として重要であり、視認性の低下はユーザーエクスペリエンス(UX)に悪影響を及ぼす可能性を持っている。

デザインの複雑性と単純さのバランスを取ることは、デザイナーにとって重要なスキルだ。デザインの目的を明確にし、アクセシビリティを考慮に入れることで、色数の増加と視認性の低下をうまく調和させることができるのではないか。デザインの未来において、単純さと理解しやすさを保ちつつ、色数の増加を活用する方法を見つけることが、優れたデザインを生み出す鍵となるのだろう。

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