著作権表示は、日本においてはあっても無くても著作権そのものには直結しないということにはなっている。しかし世界に目を向けると、その表示があるかないかで権利があったり無かったりするということもあるのだという。なので、常に世界に向けて発信しているインターネットにおいては著作権表示も常に必要だと思い込んでいた方が平和だ。
そんな著作権表示が、過剰なんじゃないかと思っている。
見慣れた表示といえばその通り。だけど「©」または「(c)」とは、「Copyright」の省略表示なのだ。「馬から落馬」どころではない。「株式会社 ㈱」と書いているようなものだ。これを二重表現と言わずに何と呼ぶ?
著作権表示の重複について
- 「Copyright」
この単語自体が、作品に対する排他的な法的権利、すなわち著作権を主張するもの - 「(c)」または「©」
これは、著作権を示す国際的な記号「©」(Copyright Symbol)のことであり、「(c)」はタイプライターなどの環境で記号が使えなかった時代の代替表記だった名残
したがって、「Copyright」という単語と「©」という記号の代替は、本質的に同じ「著作権」という情報を意味しているため、併記すると「著作権 著作権」と主張するのと同然であり、二重表現となってしまう。
現代における簡潔な表記
現代のデジタル環境では「©」記号が一般的に使用可能であるため、あえて「(c)」という代替表記を用いる必要性はほとんどない。現在、多くのプロフェッショナルな出版物やデジタルコンテンツで推奨される、最も簡潔な表記は以下のどちらか一つである。
- 記号を用いる場合(最も推奨される方法)
© 2025 [権利者名] - 記号を避けたい、または使えない場合
Copyright 2025 [権利者名]
「過剰で二重表現ではないか」という感覚は、現代の表記慣習から見て全く正しいと言える。簡潔に、「©」または「Copyright」のどちらか一方を使うことを推奨していきたい。
では、なぜ二重表記がニッポンをはじめ世界で残っているのか? それは、現代の法的・技術的な観点からは重複であり不要とされているにもかかわらず、長年の慣習として「とりあえず書いておくべき」という認識が根強く残っているためだ。
二重表記が広まった歴史的背景
「Copyright ©」という表記は、主に「万国著作権条約(UCC:Universal Copyright Convention)」に由来する。
1. 「方式主義」の要求
ベルヌ条約(日本やヨーロッパ諸国などが加盟)は、著作物が創作された時点で自動的に著作権が発生する「無方式主義」を採用している。しかし、かつてのアメリカ合衆国などは、著作権を保護するために、著作物を登録し、所定の表示を義務付ける「方式主義」を採用していた。
2. 万国著作権条約(UCC)の登場
昭和27年(1952) に採択された万国著作権条約は、アメリカなど方式主義の国の著作物も、無方式主義の国で保護されるようにするために作られた。この条約第3条で、以下の3点を著作物に見やすい形で表示すれば、方式主義の国でも手続きなしに著作権が保護されると定められた。
- © 記号(コピーライトマーク)
- 著作物の最初の発行年
- 著作権者名
3. 「©」の代替表記「(c)」
タイプライターや初期のコンピューター環境では、公式な「©」記号を簡単に入出力できなかった。このため、国際的に、丸で囲んだCの記号©の代替として、小括弧で囲んだ C の文字「(c)」を使う慣習が広まった。
4. 単語との併記
方式主義の国で「©」による表示が普及する過程で、より権利を強く主張したい、あるいは誤解を避けたいという意図から、「Copyright」という単語と、代替記号である「(c)」や「©」を併記する形が慣例として使われるようになった。わからない人たちへの配慮という感じだろう。ただし、わからない輩には何を表示しようと通じないものは通じない。
現在の状況と慣習
アメリカが平成元年(1989) にベルヌ条約に加盟し、無方式主義に移行して以降、現在、万国著作権条約で定められた方式(© 年号 権利者名)は、世界的に法的な義務ではなくなっている(一部例外はあるようだ)。にもかかわらず、二重表記がまかり通っているのは以下の理由によると推察される。
- 長年の慣習と踏襲
特に古い組織や企業では、過去の慣習やテンプレートをそのまま使い続ける傾向がある。法的な変化があっても表記を見直すことを恐れ、何か間違った時に自分のせいにされたくない。 - 「念のため」の心理
著作権の存在をより明確に、強く警告したいという意図から、「Copyright」という単語と「©」の両方を書いておけば安心、という心理戦。 - 抑止力としての期待
法的な義務がなくても、著作権マークや単語を羅列することで、無断利用や転載を防ぐための事実上の抑止力とする。
結論として、「Copyright ©」という二重表記は、かつての国際条約上の方式主義への対応と、それに伴う代替記号の使用が、現代まで慣習として引き継がれてしまった結果といえる。そして、ニッポンを代表する「木を伐れない昭和のおじさん」的な、面倒を後回しにする社会的風習と、「みんなやってる」という安心感で、過剰な表現をして社会的リソースを少しずつ浪費している。
「X(旧Twitter)」の民族には何を言っても関係ないかもね。


