とある“押し売り感強め”の縦長ランディングページを見ていたときのこと。商品紹介の画像の下に、なにやらそれっぽい一文が書かれていた。
……まじで?
その団体は実在する
調べてみたところ、「日本漢方薬養生薬製剤協会」という団体は確かに存在していた。公式サイトも普通に見られる。しかし、その画像がその中のどこにあるのか、まったく見当がつかない。試しにサイト内をうろうろしてみたが、なかなか見つからない。
仮に本当に使われていたとしても、そのページがすでに削除されている可能性もある。要するに、「引用元」と書かれていても、URLがなければ探し出すのはほぼ不可能である。
その画像をよく見たら違和感だらけ
そもそも、その画像をじっくり見てみると妙な点がいくつかある。
- 中央の男性をはじめ、全員が笑顔すぎる(歯医者の広告レベル)
- 2列目の男性ふたり、下半身がどこかへ消えている
- 左端の男性とその隣のカーディガン女性の間に、謎の白線
……これは、白背景のストックフォトを雑に切り取って、背景に貼り付けたパターンだと推測することが容易だ。
正体判明:あっさり見つかるストックフォト
というわけで、検索してみた。
で、見つけたのがこれ:
👉 https://www.shutterstock.com/image-photo/asian-doctors-working-hospitals-2275065715
完全一致であるʬʬʬ
拍子抜けするくらい、簡単に見つかってしまった。
ちなみにこの画像、350円出せば誰でも使える。特別な引用でもなんでもない。さらに、2列目左の男性が履いているのは白いズボンなので、自動的な背景処理で脚まで消えたらしい。右側の男性も、服の色的に「下半身、認識されず」である。
大量生産型の「アジア人グループ」
この手の素材はかなり多いだけでなく、同じモデルさんたちによるポーズ違いやメンバーの並び替えだけでバリエーション豊富。なので、同じ団体のサイトで別の写真が使われていたとしても、それ自体は不自然ではない。
ただ、ひとつ言えるのは──
「90%の石が処方されてます!」なんてキャッチコピー、協会のどこにも書いてあるはずがない。
引用元表記の裏にある罠?
画像に引用元を埋め込むことで、あえて検索エンジンからその団体名がヒットしにくくなっている可能性がある。つまり、「日本漢方薬養生薬製剤協会」で検索しても、そのランディングページが出てこないように細工しているのでは、ということだ。
なぜそんなことを?
ニッポン人、権威に弱すぎ問題
結論から言えば、日本人は権威に弱いのである。それなりの名前の団体や人物が出てくると、内容はともかく信用してしまう。さらにテレビで紹介されたとなれば、「テレビの言うことは正しい」と思ってしまう習性がある。
司会者が毎日ウソついてても、ニコニコしてれば本気にしてしまう不思議。
だから、詐欺スレスレの広告はそこにつけ込んでくる。よく分からないが立派そうな団体名を並べて、それっぽい画像を貼り、あとはクリックしてもらえれば勝ちなのである。
フリー素材を隠して信頼を操る広告手法
ネット広告では、フリー素材を使いつつ、それっぽい注釈を加えて混乱させる手法がよく使われる。たとえば、今回のケースでは、画像に団体の引用元を表示することで、まるでその団体が公式に使用している写真のように見せかけている。
その画像は誰でも購入できるフリー素材で、すぐにどこから取られているのかも分かるけれど、注釈に引き寄せられて「信じてしまう」のが人間の心理だ。
この手法の目的は、不確かな情報を信じさせてクリックさせ、販売を促すこと。引用元を偽装することで、広告主は無意識に信用を得て、クリック数を増やそうとしているのだ。